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目黒家住宅の客間の右窓の柱は逆さです。
根を下に生えている木をその逆にして柱として使用する見立て違いは、棟梁の最も恥です。
あえて、何故そうしているのでしょうか?
この地方では江戸時代、儒学、老子の"足るを知る"(身の程をわきまえて、むやみに不満を持たない)、
満ちる一歩手前で十分満足しなさいと云う、子々孫々まで家系が続く教えがうかがえます。
いつの世も、満ち足りた状態を保ち続けるのは大変なことです。
ご先祖のお気持ちが宿っている一本の柱です。

車家店舗を計画中に師匠よりこんな話をお聞きしました。
良いものを作りなさい。ある基準以上のものを作りますと物に命が宿ります。
物が勝手に生き続けるのです。法隆寺のような文化財が良い例です。
寺のものであり、奈良県の文化財であり、日本の重要文化財、世界遺産、世界の宝です。
良い絵画、彫刻、音楽のように大事に受け継がれ多くの人に楽しみを与えてくれます。

目黒家住宅にもそのような性格がありまして、現在、車家になりました。本来ならダム下に沈むか、
焼却されたと思いますが、本物の会津地方の民家であったことと、130年ご先祖の思いを引き継ぎ
大事に手入れされてきた思い、燃やすにはしのび難い思い、誰かが必ず再生して使ってくれることを信じて
何年も待っていて下さった事が、車家との出会いに結びつきました。

この建物は、目黒様をはじめ、再生に携わった方々の作品でもあります。
もっと前の家作り手伝帳に記された140余年前の人たちの思いをも感じます。
そういった思いを引き継いで次の世代に送ることが大事と考えております。おのずと目黒家住宅は預かり物と感じます。
電気の無かったその昔、見えております大きな梁、栗の大黒柱、当時全て鋸と手鉋で仕上げております。
店はお客様の為に作りました。多くのお客様がこの思いを感じて頂き楽しんで頂ければ本当に嬉しいです。